・アレロク(ニール)
・ほのぼのデート



買出しも兼ねた地上での休日。すっかり買出し班と定着してしまった僕とロックオンは両手いっぱいに荷物を抱えて街中を歩いていた。
「・・・・っと、もう買い忘れはないな?」
メモを片手に呟くロックオンに、そうですね、と僕は苦笑い気味に返事を返した。毎度のことだけど頼まれたものの量が半端ない。まぁクルーのほとんどが地上に降りる機会が少ないから仕方がないのだろうけど。
やれやれ、と嘆息を零すロックオンの隣を歩いていれば、前方にあまり広くはないこじんまりとした公園が目に入った。
「ロックオン、少し休憩しましょうか。」

両手に抱えていた荷物を地面に降ろせば、ガチャリと瓶がぶつかり合う音。スメラギさんに頼まれた酒類だ。
「コーヒーでいいですよね?」
と訊ねれば、すまん、との返事を聞いて僕は自販機へと歩き出した。
本当はどこかカフェに入ってでもよかったけれどあまり人目につくのは憚れるし、ここは小さいながらも緑が溢れているので心惹かれて思わず選んでしまった。ロックオンも特に何も言わなかったから異存はなかったのだろう。

ブラックとミルクが入ったのと2つ、コーヒーを買ってロックオンの元に戻れば、ロックオンは気持ち良さそうに両手を広げてベンチに凭れかかっていた。
「どうぞ。熱いですよ。」
とブラックの方を渡して僕も隣に腰掛ける。
サンキュ、とカップを受け取ったロックオンはそのままカップに口を付け、僕も自分のミルク入りコーヒーを一口啜った。
「あちっ!」
「・・・・・だから言ったじゃないですか、熱いですよって。」
さぞかし熱かったのだろう、カップを睨むロックオンの目は涙目だ。
「ひた、やけどひた(舌、火傷した)・・・」
「猫舌なのに慌てて飲むからです。」
舌を出しながら喋るロックオンに呆れたように呟けば、ふぅふぅと息を吹きかけてコーヒーを覚ますロックオンから、飲みたかったんだから仕方ねぇだろ、と拗ねた文句が返ってきた。その恨めし顔で僕を睨んでくるロックオンの姿は、普段からの飄々とした態度や年上の貫禄など微塵も感じられなくってついついポロリと本音が零れる。
「本当、可愛いですね、貴方って人は。」
にっこりと笑ってそう言えば、うるさいっ!とそっぽを向かれてしまった。
「耳、赤いですよ。」
「やかましいっ!」

ほら、そういうところも可愛いんです。






2008.10.01〜2008.11.30 Clap