・アレニル
・1期ベース
待機という名の僅かな休息。
照りつけるような陽光の下、僕は木陰に寝そべってとある感触を楽しむ。
「なぁー、アレルヤ、こんなののどこがいいんだ?」
頭上から響く、少し不満気な声。それなのに僕の髪を梳く手は優しくて、それが本当は心から嫌がってない証拠だって教えてくれる。
「すごく気持ちいいですよ。」
閉じていた目を開ければ、そこには地球色をした美しい瞳が僕の顔を見下ろしていた。
以前読んだ本に、主人公が恋人の彼女に膝枕をしてもらっているシーンが描かれていた。話自体そんなに印象深いわけじゃなかったけど、その膝枕のシーンだけが脳裏に焼きついて、そして少し憧れたんだ。
いつか僕もロックオンにしてもらいたい。
そう秘かに企んでいたけれど、ロックオンは意外にも照れ屋でなかなか実行に移せなかった。
けれど突然降って沸いたこの待機という名の休息。しかもこの島にはガンダム2機と僕たち、そしてハロだけという好チャンス。この機会を逃すわけにはいかない。
膝枕をして欲しいと望めば案の定ロックオンは渋ったけれど、それでも僕たちだけしかいないからと根気良く説き伏せてやっと、本当に仕方がないといった風体で彼はその膝を僕に貸してくれた。
そんなこんなでやっと叶った膝枕。ロックオンの温もりと匂いが嬉しくて、思わず寝返りを打って大腿に頬ずり。
「野郎の膝枕なんて硬いだけだと思うけどなぁ・・・。」
整った眉尻を下げて少し呆れたように笑うロックオン。
そんなことない。女の人だからとか男の人だからとかなんて関係ないんだ。
だって僕は。
「ロックオンだから気持ちいいんです。」
もう一度寝返りを打ってロックオンの顔を見上げながらそう言えば、ロックオンは大きく目を瞠った後、顔を逸らして小さな声で馬鹿と呟いた。
でも柔らかい栗色の髪から覗く耳がほんのり赤くなっているのを見つけて、僕はくすりと笑みを零す。
「ロックオン。」
僕は腕を伸ばして逸らしたロックオンの顔をこちらに向けさせれば、やっぱり頬も赤く染まっている。
「好きですよ。」
そう告げれば、赤かった頬は更に紅く染まった。
本当に可愛くって、好きで好きでたまらない。
2009.02.01〜2009.03.31 Clap