・アレニルのアレ→ニル
・1期ベース
・ニールのことが好きすぎるアレルヤ



静寂の中にパチパチと火の爆ぜる音だけが響く。漆黒の闇に包まれた室内は暖炉の中で燃え盛る炎だけが唯一の灯。キン、と肌を刺すような冷え切った空気も炎のおかげで幾分和らいでいるように感じる。
毛布に包まりながら僕は、暖炉の中で揺らめく炎を見つめていた。

太陽光エネルギーを主としたこの時代に暖炉というものはかなりの過去の遺物で。今では寒さの厳しい地域でも滅多にお目に掛かることはないという。
けれどもロックオンはこんな不便さを感じるようなアンティーク物を好んで使用することが多い。何故かと訊ねてみれば、その不便さが人が生きてきた歴史を感じていいのだと人好きのする笑顔でそう教えてくれた。僕はその良さがまだわからないけれど、でも物珍しさもあってロックオンのこの趣味に異を唱えるつもりは毛頭ないし、何よりロックオンの楽しそうな顔を見ることが出来るのならそれに不満は全然ない。


腕の中で規則正しい寝息を立てながら眠るロックオンの顔は、揺らめく炎に照らし出され陰影を濃く浮かび上がらせている。
端整に通った鼻梁。微かな吐息を漏らす口唇。伏せられた瞼に、長い睫毛は照らし出されたことによって白い肌に影を落としている。その閉じられた瞼の奥には宇宙から見た地球を思わせるような碧い瞳。
闇に浮かび上がるほどの白さを持った肌も、今は揺らめく炎に照らされて幾分赤味を帯びて見えた。
改めて、好きだ、と思う。
ふわふわと巻いた栗色の柔らかい髪も、すべすべした白い肌も、碧い瞳も、薄紅色の薄い唇も、心地好いテノールの声も、長い手も指も足も。優しくて暖かくて、強いけれどもふとした瞬間脆くなる心も。何もかも。
ロックオンの全てが愛おしい。好きで好きで、ただどうしようもなく、泣きたくなるくらい、好きでたまらない。
どうしたら貴方にこの想いの全てを伝えられるのだろうか。
好きです、愛してます、と何度言葉にしても伝えきれない。何度身体を重ねて、僕の熱を貴方に注ぎ込んでもそれでもまだ足らない。伝えきれるどころか日に日に貴方への愛しさは増していくばかりなのに。
「・・・・・ロックオン。」
腕の中の寝顔を見つめながら愛しい人の名前を紡ぐ。

どうしたら、この想いの全てが貴方に伝わりますか―――





2009.01