・アレニル
・1期ベース
・ちょっとえっちぃ(笑)な兄貴



アレルヤの声が好きだ。

男にしては少し高めのアレルヤの声。
優しく穏やかに紡がれる声色も、焦ったり驚いたりするとほんの少し高く上擦ってしまう声色も。嬉しいと弾んでしまうときや何か申し訳ない時消え入りそうになってしまうときも。
どんなときでも、俺は結局アレルヤの声全てが好きなのだ。

アレルヤの声はいつも俺を落ち着かせてくれる。心地好い音楽を聴いて安らぐ時のように。
あぁ、いや、ただあの時の声だけは反対に俺を落ち着かなくさせる。あの熱くて甘い二人だけの、秘め事の時の声。
アレルヤの腕に抱かれ耳元で紡がれるいつもとは正反対の低い声は、俺の中の何かを掻き立てる。
『ロックオン・・・』
不意に甦る、情欲を纏ったアレルヤの低い声。
まるで条件反射のように、思わず下腹部が熱を帯びじくりと疼き始める。あぁ、なんてこった・・・!
慌てて別の思考に切り替えようと思うのに、考えれば考えるほどあの声が耳から離れない。そして身体の昂りも治まるどころか駆け上がっていく。

「・・・・・ったく、何やってやってんだよ、俺は!」
触れられるどころか、今実際目の前に居ない相手のことを考えただけで簡単に反応を示してしまう己の淫奔さに悪態を吐く。が、それをしたところでこの身体に宿った熱が冷めるわけでもない。
手っ取り早く冷ますなら、今ここで自分一人で処理してしまえばいいだけのことだ。
けれど。
ふと邪な考えが脳裏を過ぎる。
何もそんなことをしなくても、ほんの少し離れた先の部屋にアレルヤは居るのだ。一人でするより二人でした方がいい。それにアレルヤの声も聞ける。顔も見れる。逞しい体に触れることも出来る。
そう考えれば躊躇う理由など何一つなかった。

5つも年下の、それも同性であるアレルヤにこんな感情を抱き、執着するなんて一体俺は何を考えているんだと思わないわけでもないが、それを上回るように心は身体はアレルヤを求めて止まない。
(どうしようもねぇな、俺ってやつは・・・)
思考を簡単に裏切る心と身体に思わず自嘲の笑みを零す。
けれど、人の命をいとも簡単に奪ってしまう腐った世界でもアレルヤが居ると思うだけで俺はこの世界がほんの少し好きになれる。それほどに俺はアレルヤが好きなのだ。どうしようもないくらいに。
まったく、つくづく単純な男だと思う。呆れはするが、だからといって変わるつもりも変えるつもりも更々ないんだから重症だよな、俺も。

そして部屋を出た俺は、こんな男にしてしまった原因の愛しいアレルヤの部屋の前に立って呼び出し音を1回鳴らせた。





2009.01