・アレニル前提のアレルヤとハレルヤ



『守りたいと思うもんなんて作るんじゃねぇ。弱くなるだけだ』

ハレルヤは僕にそう言った。
今までの僕たちには、守りたいと思うものなんてひとつもなかった。追われるように過ごしてきた僕たちに、守るものといえば己の命ひとつしかなかったから当然といえば当然のことだ。
だから自分の命を守ることに精一杯で他の事に気を取られている余裕なんてどこにもなかった。ハレルヤの言葉の意味もよく理解っていた。

だけどソレスタルビーイングに来て、彼に逢って恋をして。いつしか僕には守りたいと思うものが出来てしまった。
確かに、彼を好きになって僕は変わってしまったかもしれない。依然、この手は弾金を引くことを躊躇うし、彼との時間を失いたくなくて死にたくないと更に強く思うようになった。
『弱くなるだけだ』
ハレルヤの言った言葉が脳裏を掠める。
あの時はその通りだと思ったその言葉も、けれど今ではそれはまた別の僕の生きたいという欲求にも繋がっていくような気がした。
僕はロックオンを守りたいと思う。だけどそれは僕の身体を賭して・・・までとは思わない。彼が生きるのならば僕も生きる。ロックオンを守って、彼が生きる限り僕も生き続ける。
僕の命を捧げたところで彼は善しとしてくれないだろうし、ましてや僕もそんな馬鹿げたことなどしやしない。彼との時間を失いたくないから、僕は彼を守るのだ。たとえ利己主義だと言われようとも。

『アレルヤにしちゃ、よく出来てるじゃねぇか』
ハレルヤはそう言って嗤った。
ああそうだね。僕は僕の為に、彼を守る。それは弱さを生み出すものではなく、僕に強さを生み出してくれるものになるのだから。





2009.05