・アレニル
・2期



言葉を交わすたびに、この人は彼とは違うんだということを思い知らされる。
それはそうだ、この人と彼は容姿や声が同じものでも別人なのだから。理解ってはいる。頭ではちゃんと理解している。
けれど心は目に映るその姿に惑わされ、彼と会話を交わしているような錯覚を起こし、それでも言葉の端々に感じる彼との違いに落胆を受ける。なんて脆弱な僕の心。
同じ遺伝子を持つ彼はあの愛しい彼を思い出させ、僕に郷愁の念を抱かさせて止まない。
・・・・・もうどんなに願っても永遠に触れることの出来ない彼を―――


彼は、この矛盾に満ちた僕に唯一射した光のようだった。彼を含め、世界に刃を向けた僕たちは世界にとっては闇のような堕天使だったかもしれないけれど、それでも僕にとって彼は光だった。
灰色に包まれていた僕の世界に色を与えてくれた彼。そんな彼を僕は心から愛した。いや、今でも愛している。

もし、この矛盾と悪意に満ちた世界でなければ僕たちは離れることなく、ずっと一緒にいられたんだろうか。笑いながら抱きしめあって、無償の愛を無限に注ぎ、孤独など知らないままずっと・・・
けれど、こんな世界だからこそ出会えたのだとすれば、なんて皮肉な運命なんだろう。
出会いと別れ。それが僕に課せられた運命のひとつなのだとすれば、僕は・・・・・


ああ、ロックオン・・・ニール。
貴方に会いたくて、触れたくて、その身体を力一杯抱きしめたいけれど。今すぐにでも貴方の元へ行きたいと願うけれど。
それでも貴方の元へ行くのはもう少し先にするよ。
貴方を失ってしまった悲しみは未だこの胸を吹き荒れるけれど、儚く散ってしまった貴方が命を賭してまで守りたかったものを僕も守ろう。貴方が生きたその証を僕はこの胸に刻み込んで生きていこう。それが貴方の願いだったから。
これが僕の運命だとしたら全てを受け入れて、最期のその瞬間まで生き抜いていく。

そしてその最期の瞬間を迎えたとき、貴方は僕を優しく迎えてくれますか―――





2009.07