・アレニル
・某グループの歌を聴いて思わず妄想



赦されたいわけじゃない。赦されたいとも、思っていない。
銃を手に取りその引き鉄に指を掛け、数多の命を奪いそして今も奪い続けている俺に、こんな想いが赦されようわけじゃないことくらい充分に理解りきっている。そんな俺が抱えるべきものじゃないということも。
だが、それでも・・・

何時しかこの胸に芽生えた気持ちは最初こそ気付くのに時間の掛かるような微かな、ほのかなものだったのに、しかしそれは日毎に成長し続け消えることはなく、遂には無視できないほどの存在へと成り果ててしまった。
理解っては、いる。こんなことは赦されざることだということは。こんな想いを抱き、交わすことなど罷り間違っても決して赦されることではないということは。
そしてそれは俺だけに当て嵌まることではなく、目の前にいるアレルヤにとってもまた同じことだった。

血と罪に塗れた俺たちが、愛を語り合うことなど赦されるはずがない。
それでも無視出来ないほど育ってしまったこの想いを抑え切れるわけもなく、だからといってそれを言葉にすることも出来ない。
ならば、と。
出来ないのならば違う形にしてこの想いを伝え、そして感じ取りたいと思う。
それは言葉にしなければいいという勝手な自己解釈。ただの欺瞞にしかならないのだろうが、それでも湧き上がるこの気持ちを胸に留めることなど俺たちには出来るはずもなかった。
だから唇を重ね、肌を合わせ、身体を繋いで胸に抱く気持ちを伝え合う。それが俺たちの愛の交わし方。

口に出来ない愛なら、言葉じゃない方法で叫べばいい―――





2010.01
BGM:『ふたつの唇』