・ディランディと大学生ハプティズムパロ
・アレニル



夕食の後片付けを終えた頃、一通のメール着信を携帯が知らせてくれた。
『今から迎えに行くから』
たったそれだけの内容。僕の都合も聞かないで!っていうのは建前で、ほんとはこうやって突然会いに来てくれたりわがままをいってくれたりするのがすごく嬉しい。僕が年下だからかもしれないけど、頼ってくれたり甘えてくれたりすることが心地良い。

10分ほどすると聞きなれた車のエンジン音が聞こえてきたので、ハレルヤに留守番を頼んで部屋を出ればちょうどマンションのエントランス先に見慣れた車が止まるところだった。

「急にどうしたの?」
助手席に乗るなり何処へ行くとも告げずに車を発進させたロックオンに訊ねれば、んー?と妙な笑顔。
「会いたくなったから。じゃダメ?」
そう言ってもらえるの、僕にとったらすごく嬉しいんだけどね。だけど、何か影で見え隠れするものがあるのは僕の気のせい?
ロックオンが運転するシルバーのスポーツカーは幾つかの交差点を通過していく。この先はたぶん、高速の入り口だ。
「急に走りたくなってさ。だったらアレルヤも誘っちゃおーっと思って。」
高速の入り口を通過したら、あとはぐんぐんと加速していく車。そのスピードはまるで何かから逃げるかのよう。
あぁ、そうか。
「ロックオン、また逃げた?」
そういえば先日、新しい仕事を1本抱えたという話を聞いた。たぶん、今日のこれは煮詰まったロックオンのいつもの癖だ。
げ、バレた?とまるで悪戯の見つかった子供のような顔をして笑うロックオンに、僕は思わず呆れて溜息。
「んもう・・・今日は見逃してあげますけど。明日からはちゃんとして下さいね。」
本当はこんなことじゃダメなんだろうけど。でも今日は僕もこうやって深夜のドライブを楽しんでるから同罪かな。
あぁそうだ、明日大学が終わったらロックオンの好きなチーズケーキを持って部屋へ行こう。そうしたら少しはやる気を出してくれるかな?





2008.12.01〜2009.01.31 Clap