・ディランディと大学生ハプティズムパロ
・アレニル



今日は朝から随分と冷え込む。
次回作のプロットを考えていた俺はあまりの手足の冷たさに暖房の設定温度を確認したが、パネルに表示された数字はいつもとなんら変わりはなかった。
時間はもう昼過ぎだというのに尋常じゃねぇ寒さ。こりゃ雪でも降るんじゃねぇか?
そう思って窓の外へと視線を投げ掛ければ、鉛色の空からは既に白いものがちらちらと舞い降り始めていた。

「あー・・・降り始めちまったか。」
乱舞する雪たちを認めて思わず言葉が零れたと同時に、机上に置いてあった携帯が短く鳴る。開けて見れば愛しいあいつからの『今から行くね』という短いメッセージ。
こんな雪の舞う寒い日にわざわざ来なくても、とは思ったって実際のところはそのメッセージに込められたものに心が躍るのは事実なわけで。
ゲンキンな自分へ自嘲を込めつつ小さな溜息を零して、『待ってるよ』と返事を返した。

寒さで頬と耳を真っ赤にさせて、アレルヤはきっと息を切らせながら走ってやってくるだろう。
ああそうだ。きっと冷え切っているだろうから部屋の温度を少し高くしておいてやるかな。それから温かいカフェオレでも用意して。
そして玄関の扉が開いたら『おかえり』と告げて抱きしめて暖めてやろう。そしたらアレルヤはどんな顔をするだろうか。
そんなくだらない策略を思い描いて、俺はくすりと笑みを零した。

アレルヤがやってくるまであと少し―――





2009.02.01〜2009.03.31 Clap