・ディランディと大学生ハプティズムパロ
・相合傘シリーズ ニールver.



「・・・げ」
マーケットの自動ドアを潜った瞬間、目の前の現状に思わず言葉が漏れた。
原稿の途中にカフェオレでも飲もうかと思ったらミルクが切れてた。昨日の夜の時点ではまだあったはずなのに。ああそういえば今朝ライルが飲んでたな・・・あの野郎。
無いとなれば余計飲みたくなるのが心情ってもので。
結局、俺は原稿をほっぽりだしてミルクを買う為にわざわざマーケットまで足を運んだ。ついでにチーズケーキもゲット。
また原稿から逃げた?いやいや、息抜き息抜き。気分転換も必要だ、と自分自身に言い訳してみる。というのもこれまた目の前の惨状からの逃避なのか?気にすんな。

マーケットから一歩出た外は見事なほどの土砂降り。マンションを出た時は、空は暗いながらもまだ雨の気配はなかったというのに。油断した。
それでも傘を持って出なかったのは明らかに俺の失態だ。
「・・・・・参ったなぁ」
思わず溜息と共にごちた。恐らく夕立だろうから一過性のものだとは思うけど、実はマンションにアレルヤを残して来ている。
(あまり遅くなると心配するだろうしなぁ・・・)
マンションからこのマーケットまで大した距離ではないが、それでも心配性の年下の恋人を思い出して、ざぁざぁと音を立てて降る雨を吐き出す空を見上げた。睨んだところで雨が止むわけでもないが。

「ロックオン」
途方に暮れて立ち尽くす俺に呼び掛けてきた聞き慣れた声。あ、もしかして・・・
声のした方を向けば、そこには先程脳裏に浮かんだ恋人の姿。
「アレルヤ!」
「迎えに来ましたよ」
どうせ傘を持って出なかったんでしょうから、と少し呆れ顔で立っているアレルヤの元へと思わず駆け寄った。さすがアレルヤ、よくわかってるよな!だけど・・・
「なんで傘一本なんだ?」
「せっかくだから相合傘でもしようかと思って」
そんなことをさらっと言ってのけるアレルヤに、思わずこっちの方が照れてしまう。野郎二人が相合傘ってどうなんだ。
だけど。
でもまぁ、たまにはこういうのもいいか・・・、なんて暢気なことを考えてアレルヤと一本の傘の下、肩を並べてマンションへと足を向けた。


「チーズケーキも買ったから、帰ったら食おうぜ」
「はいはい」
なんだかんだ言ったって、俺はこの甘やかしてくれる年下の恋人が好きなんだよなぁ。





2009.06.01〜2009.07.31 Clap