・ディランディと大学生ハプティズムパロ
・相合傘シリーズ ハレルヤver.
「・・・ちっ、」
バイトが終わって外に出たら、夜の街は人口の光が反射して光っていた。濡れた街が色とりどりな灯を反射して一層鮮やかに輝いている。
その光景に思わず舌打ちした。
街を濡らした雨は、まだしとしとと降り続けていやがる。見上げた空に月の姿はなく、街の灯の向こうにどんよりと重く垂れ込めた雲が見えるだけだった。
あいにく傘なんてもんは持ってねぇ。そういえば朝、アレルヤの奴が今夜は雨が降るとか言っていたがその時は気にもしていなかった。今更後悔しても遅いとは思うが、それでも聞いておかなかった自分に腹が立つ。
だがこんな所で悩んでたって仕方ねぇ。濡れようが何だろうが帰るしかないのだ。
腹を決めて雨の中走り出せば、数歩先に傘を差して立つ一人の男の姿。傘の影に隠れて顔は見えねぇが、それでも何となく嫌な予感がした。
その予感を振り切るように無言で足を前進させ通り過ぎようと擦れ違った瞬間、ハレルヤ、と呼ばれ腕を捕まれた。ああやっぱり予感的中。
「・・・・・なんでいんだよ」
「ん?ちょうどハレルヤのバイトが終わる時間だし、一緒に帰ろうかなーと思って」
そうやって飄々と言ってのける顔が気に喰わねぇ。偶然を装ってはいるが、濡れたスーツの裾が濡れて変色しきっている。ちょっとやそっと待っただけじゃそこまで色は変わらねぇだろ。まったく、こいつってヤツは。
あからさまに溜息を吐いて、ぶんっと乱暴に腕を振り解けば、ハレルヤ?と怪訝な声で名前を呼ばれた。
「・・・帰んだろ?」
わざわざ待っていてくれたのは嬉しいとは思うが、それでもそこまで濡れて待っていたことには腹が立つ。随分と勝手な言い草だが。
ぶっきらぼうに言ったその言葉にこいつは肩を竦めると、一歩踏み出してその傘の中に俺すら入れて、そして並んで歩き出した。
「・・・って、おい。傘一本しかねぇのか」
「そりゃあ会社帰りだし。あ、でもハレルヤと相合傘出来るなら俺は全然平気だぜ?」
「黙れっ!!このクソボケライル!!」
やっぱり計画的犯行じゃねぇか、こいつ!
2009.06.01〜2009.07.31 Clap