・ディランディとちびハプティズムパロ
・いい子でお留守番



久しぶりの休日。夏の暑さも一段落して、幾分か日差しが和らいだ午後、リビングのソファで寛ぎながら雑誌をペラペラと捲っていたらパタパタと軽い足音が2つ近付いてきた。
「らいるー、えほんよんでー。」
「よめー。」
リビングに入ってくるなり、ちびたちは俺が座っているソファに上がり込んで、しかも俺の顔を覗き込みながら手に持った絵本を差し出してそう言い出した。
「あぁ!?」
いきなりの要求に俺は思わず素っ頓狂な声を上げる。っておまえら、さっきまでおもちゃで遊んでたんじゃねえのか?子供って気が変わるの早いよなぁ。
「ねー、よんでー。」
「よめっていってんだろー。」
ぐいぐいと絵本を押し付けてくる様に思わず仰け反る。まったく人のことを無視した容赦ねぇ要求だなおい。つーか、それが人に物を頼む態度かハレルヤ。
はやくー、と待ったなしでせがんでくるちびたちから仕方なしに絵本を受け取る。頼みのニールは買い物に出掛けて当分帰ってこないし、ここで突っ撥ねてちびたちを泣かしてしまっても怒られるのは俺だからそれも堪ったもんじゃない。
ああもう仕方ねぇなぁ。言っとくけど、俺朗読あんま上手くねぇぞ?

『むかしむかしあるところに―――』
アレルヤとハレルヤが持ってきた絵本は昔俺とニールが読んだこともあるヤツで。だからなのか意外にも詰まるところも少なくて、でも字を追うのに必死になって読んでいたから俺は両脇にいるちびたちの異変に気付かなかった。
物語りも終盤に差し迫った頃、ふと俺の太腿あたりに荷重が掛かったような気がして文字を追っていた絵本から太腿へと視線を移してみたら、俺の上手くもない朗読を大人しく聞いていると思っていたアレルヤとハレルヤはいつのまにか夢の世界へと旅立っていた。
「・・・・・・・おい・・・」
せっかく読んでやってたのに、とは思うもののちびたちのスースーと寝息を立てて気持ちよさそうに眠ってる顔を見れば怒る?いや呆れる?ていうか仕方ねぇかぁと思うあたり、俺もだいぶニールに教育されてきたのかなぁ。
ああなんだか俺も眠くなってきた。
ふあぁ、と欠伸を一つして絵本をそっとローテーブルに置いて。でもちびたちの頭はそのままにしておいて。俺はソファの背もたれに後頭部を乗っけて目を瞑った。


「ただーいま・・・・・・っとぉ。」
『ロックオン、オカエリ!オカエリ!』
「しーっ。ハロ、静かにな?」

そんなニールとハロのやりとりを夢現の中で聞いたような気がする。





2008.10.01〜200811.30 Clap