・ディランディとちびハプティズムパロ
・兄弟喧嘩
「うわぁぁぁぁん!はれるやきらいー!」
「へーんだ、あれるやのなきむしー。」
部屋の中に掃除機の音に混じっておちびたちの叫び声が響き渡った。あぁもう仲はいいくせに時々喧嘩をするんだよなぁ。で、大体というか絶対泣くのはアレルヤでそれをからかうのがハレルヤのお決まりパターン。
仕方ねぇなぁ、と呆れついでにひとつ溜息を吐いて、俺は掃除機のスイッチを止めておちびたちの元へ向かった。
「こーら。なに喧嘩してんだ?」
とわざと怒った顔を作って話し掛けてみれば、泣いていたアレルヤは更に泣きそうな顔をして、ハレルヤはしまった、見つかったというようなバツの悪い顔をして俺の顔を見上げてきた。
「っひっく、だって、はれるやが、っく、ありおす、とってくんだもん。」
「ち、ちげーよ!あれるやがずっとありおすひとりじめしてるからだろー!」
泣きながら言うアレルヤと必死になって言い訳するハレルヤに思わず二度目の溜息が零れる。
この間、おちびたちが好きなキュリオスの新型が出たから欲しいとせがまれて、あまりにも必死に強請ってくるものだから仕方なしに買ってやることにした。(まぁもちろんライルには甘いと怒られたが)が、おちびたちを連れて買いに行ったら運悪くひとつしか残ってなかったんだよなぁ。だから、
「喧嘩しないで二人で仲良く遊ぶって約束だったろ?」
そういう条件で、その時は二人もちゃんと納得して(まぁどうしても欲しいんだからその時は約束するだろうけど)買ったっていうのにこの様だ。まぁ子供なんてそんなもんなんだろうけどな。
なのに、でも、とか、だって、を繰り返すおちびたちにちょっと灸を据えてやろうかと思って、
「ああもう!そんなに喧嘩するんだったらアリオス店に返してくるぞ!」
と怒鳴ったら、アレルヤだけじゃなくあの滅多に泣くことのないハレルヤまで泣き出した。
「「うわぁぁぁぁん、ごめんなさいーー!!」」
げ。俺やりすぎた?
火のついたように泣き出す二人の音量はそりゃ凄まじいもので、ご近所に(特に左隣のティエリア)迷惑じゃなかろうかとあたふたする俺を尻目に、
「なかよくするからー、ひっくっ」
「ひっく、ありおすかえさないでー!」
とこれまた盛大な声で謝ってくれる。あああだからそんな大声で・・・・!
「わかった!わかったから泣き止め!泣き止んでくれ!アリオスは返さないから!」
・・・・・なんか必死に宥めてる自分が情けなくなってきた。たかがおもちゃひとつに、とは思うもののこいつらにとっちゃ宝物なんだよなぁ。それでも・・・なんか・・・・・疲れる、かも。
その後、もう一度『仲良く二人で遊ぶこと』と約束して俺は掃除を再開させた。それからはさっきの一発が効いたのか、アレルヤの泣き声は二度と響くことはなく無事に掃除を終えたけど、スイッチを切ったらなぜか部屋の中に二人の声はなくて。
さっき遊んでいた場所を覗き込んでみたら、アレルヤとハレルヤはひとつのアリオスを一緒に握り締めて寄り添うように寝息を立てていた。やれやれ。
2008.10.01〜2008.11.30 Clap