・ディランディとちびハプティズムパロ
・長髪仔ハレに影響されて(爆)
陽気の良いある日の穏やかな昼下がり。
しゃきん、と鋏の軽い金属音を最後に響かせた後一歩下がって全体のバランスを眺め、よし、と一人頷く。
「よぉーし、アレルヤ終了だ。」
「おとこまえー!」
身体に巻き付けていたケープを取り外してやると、アレルヤは嬉しそうに部屋の中に入って早速鏡を見ている。
ただ長くなってきた髪を少し短くしただけなのに、それでも散髪ってのは特別なのかねぇ。
本当は床屋に連れて行ってちゃんと切ってもらった方が良いと思うんだが、床屋さんのあの白い服が病院の先生と被るものがあるらしく、以前連れて行った時二人に大泣きされて困ったことがあった。
以来、おちびたちの散髪はもっぱら俺がしてやることにしてる。床屋さんほど上手く出来ねぇけど、ま、あのくらいの年なら大丈夫だろう。
「ほら、次、ハレルヤ。」
ベランダと部屋の境目で落ち着きなくうろうろしているハレルヤに声を掛けてやれば、一瞬身体を竦ませた後らしくない態度で口を開いた。
「お・・・おれ、やっぱいい。」
「なぁに言ってんだ。切らないと女の子みたいになっちまうぜー。」
「うー・・・」
「はれるやー、おとこまえー!」
じっとしていることが苦手な上、首元を触られるのが擽ったいのかハレルヤは散髪が好きじゃない。
けれど“女の子”という言葉とアレルヤの嬉しそうな顔がハレルヤに決心を促せたのか、おずおずとベランダに出てきて椅子に座る。
「お利口さん。じっとしてろよ、男前にしてやるから。」
「ぜったいだぞ!ろっくおん!」
「はいはい。」
がちがちに固まってまで強気な発言をするハレルヤに思わず笑みが零れてしまう。あと何年、こうやっておまえたちの髪を切ってやれるのかね。
そして明るい日差しの中、再び鋏の軽快な金属音が空に響き出した。
2009.02.01〜2009.03.31 Clap