・ディランディとちびハプティズムパロ
・クリスマスネタ
“クリスマス”というのは子供たちにとって、いつの時代も特別なんだよなぁ。
いつもならもうとっくに寝ているはずの時間なのに、目の前の小さな二人は窓際に張り付いて噂のサンタクロースの来訪を今か今かと待ちわびてる。
おーい、おまえたちにプレゼントを持ってきてくれるサンタさんは後ろにいる俺だ。なんて野暮なことは言わないけど。信じてる内は黙って夢を見させてあげた方がいいもんな。
今日は朝方から冷え込んでいて、日が落ちる頃には空から白いものがちらちらと舞うようになっていた。文字通り、ホワイト・クリスマスってわけだ。
・・・・・・・・・・あ、ライルのやつ、今日傘持ってったっけ?ま、何とかするだろう。
いつもなら雪が降ると大はしゃぎするおちびたちが、なぜか今日は心配顔。
「ねぇねぇろっくおん。ゆきがふってたら、さんたさん、ちゃんときてくれるかなぁ?」
「サンタさんはそりに乗ってるだろ?大丈夫、ちゃんと来てくれるよ。」
「なーなー、うちはえんとつねーけど、だいじょうぶなのか?」
「・・・・・う゛・・・だ、大丈夫だよ、玄関の鍵開けとくから。心配すんな。」
苦し紛れな言い訳でもおちびたちには充分だったようで、そっかー、よかったぁ、と安心した様子だ。・・・・・この理由、あと何年使えるかな・・・・・。
ま、それはおいといて。
「アレルヤ!ハレルヤ!早く寝ないとサンタさん来てくれねぇぞー。」
そう言えばおちびたちは慌ててベッドの中に入るものの、サンタさん何くれるのかな、とか、いつ来るの、とか興奮しててなかなか寝てくれやしない。寝てくれよ、頼むから。
「あー、もう!ウチにはいい子はいませんってサンタさんに連絡するぞ!いいのか!?」
「よくないー!」
「やだー!」
「だったら早く寝る!」
「「おやすみなさーい」」
これって最大の脅し文句だよな、と思いつつも口にすれば効果絶大で。おちびたちが静かになったのを確認して部屋の明かりを落としてやれば、すぐに規則正しい寝息が二つ聞こえてきた。よしよし。
それからしばらく経って。
雪まみれになって帰ってきたライルを風呂に放り込み、出てきたところで揃っておちびたちの枕元へプレゼントを配達しに行った。
こうやってこっそりとプレゼントを置きに来るのもあとどれくらいだろう?クリスマスが貰う方だけじゃなく、贈る方も楽しいイベントだと知ったのはおちびたちがこの家に来てからだ。
俺とライルがサンタさんの真実を知ったのが何時、どのタイミングで、どういう理由で知ったのかは忘れてしまったけど。
それでも出来たら少しでも長く信じていてくれたらなぁ、と二つの寝顔を見ながらぼんやりと思った。
2008.12