・ディランディとちびハプティズムパロ
・こどもの日っぽいかんじで
今日もおちびたちは元気だ。
「わがなはあれるや・はぷちずむ!いざ、じんじょうにしょうぶ!」
「おうしゅうひっとうはれるや・はぷちずむ、おしてまいる!」
帰りの遅いライルを残して夕飯を済ませたゆっくりとした時間。
リビングのソファに座ってぼんやりとTVを見ていれば、同じくリビングでアレルヤとハレルヤがきゃいきゃいと甲高い声を上げて走り回っている。
こどもの日が近いからなのか、保育園の工作の時間に作ったものは新聞紙で作られた兜と丸めただけの棒切れというか剣もどき。それがどうやら今のおちびたちにはお気に入りのおもちゃらしい。うん、安上がりで結構。
しかし、その時代劇染みた言葉はなんだ。あ、この間見ていたアニメの影響か。
「あれるや、てきをくちくする!」
「ほんもののちょうへいってやつをみせつけてやるぜ!」
え?それって・・・
「ねらいうつぜ!」
「ばんしにあたいする!」
いやいやいや、それは違うだろ!
というツッコミは自分の心の中でしておこう。おちびたちが楽しければそれでいいんだから。俺が口を挟むことでもないし。ていうか、聞いてて面白い。
丸めた剣もどきでばしばし叩き合ってはいるが、所詮紙で出来たものだから怪我はしないだろう。それでもばたばた走り回るおちびたちに身の危険を感じたのか、ハロはころころと転がって俺の方へと避難してきていた。
「ただいまぁー」
お、帰って来たか。
疲れた声をしているライルに、リビングから『おかえり』と声を掛けてソファから腰を上げた。ライルの夕飯を温めてやらないとな。
キッチンへと向かった俺とは反対に、おちびたちはライルを出迎えに玄関へと走っていく。きっと自慢のおもちゃでも見せびらかしに行くのだろう。かわいいよなぁ。
「らいるー、おかえりー」
「くらえー!」
「ぬぉ!?」
ハレルヤの声の後に聞こえた、なんだか悶絶するようなライルの声。あ、あの剣もどきで殴られでもしたか?でもまぁ紙で出来たものだし、そんな痛いものでもないだろう。大げさなやつなんだから、ライルは。
暢気にそんなことを考えつつ、仕方なしに玄関まで覗きに行ってみれば・・・ライルは股間を押さえて蹲っていた。
紙ってのは意外に凶器になるもんだと知った瞬間だった。うん、勉強になった・・・って、こら!ハレルヤ!
2009.05